COLUMNコラム
飲食店の印象は「天井の高さ」で変わる?空間演出に欠かせない心理的効果とは

天井の高さが店舗の第一印象を左右する
お客様が飲食店に入った瞬間に感じる印象――それを大きく左右する要素のひとつが「天井の高さ」です。
吹き抜けのように高い天井は開放感があり、洗練されたカフェや明るいレストランにぴったり。
一方、低めの天井は落ち着いた雰囲気をつくりやすく、隠れ家のような居酒屋やバーに適しています。
このように、天井の高さひとつで空間の雰囲気は大きく変わり、訪れたお客様の居心地や過ごし方にも影響を与えるのです。
今回は「天井の高さが与える心理的な影響」と、飲食店設計で知っておきたい注意点について解説します。
新店舗の設計をご検討中のオーナー様は、ぜひ参考にしてみてください。
天井の高さが人の感じ方を左右する理由とは?
実は、天井の高さには人の心理に影響を与える力があります。
心理学の研究では、高い天井は創造性を高め、低い天井は集中力や親密さを促すといった傾向が報告されています。
狭すぎる空間にいると、人は圧迫感を感じて無意識に周囲との距離をとろうとしがちです。
一方で、あまりに高すぎる天井は「フォーマル」「遠い」といった印象を与え、かえって距離を感じてしまうこともあります。
適度な高さの目安としては、約275cm(9フィート)が一般的に「居心地の良い高さ」とされています。
この高さは、友人同士で食事を楽しむような場面において、自然な距離感を保ちやすいとされる距離です。
店舗のコンセプトやターゲット層に応じて、適切な天井の高さを選ぶことで、お客様の居心地や滞在時間にも良い影響を与えることができます。
高さだけじゃない!「内装制限」にも注意が必要
天井の高さを決める際には、心理的な効果だけでなく、建築基準法にも配慮が必要です。
特に注意したいのが「内装制限」と呼ばれるルールです。
高さが1.2m以上の壁や天井部分には、防火対策として以下のような不燃性の高い素材を使用しなければなりません。
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難燃材料
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準不燃材料
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不燃材料
これらは、火災時に燃え広がりにくく、有害な煙やガスを発生させにくいことが条件です。
飲食店は火を扱う機会が多いため、安全面にも配慮した素材選びが求められます。
特にデザイン性の高い店舗を目指す場合でも、このような法的制限とのバランスを取りながら設計することが重要です。
天井の高さと色づかいで空間の印象は大きく変わる
天井の高さだけでなく、色の選び方も空間の広さや雰囲気の印象に大きく影響します。
例えば、天井や壁を明るい色にすることで、空間をより広く、開放的に感じさせることができます。
逆にダークトーンを取り入れると、落ち着いた雰囲気や高級感を演出することも可能です。
空間全体のバランスを考慮しながら、「この店でお客様にどんな時間を過ごしてほしいか?」を設計に反映させていきましょう。
居心地の良い店舗づくりは、設計の段階から差がつく
飲食店の設計において、天井の高さや空間の広がりは見た目だけでなく、心理的な居心地にも大きく関係しています。
店舗のコンセプトや利用シーンに合った空間づくりができていれば、自然とリピーターも増えていくはずです。
東京渋谷区を拠点とする店舗設計のクリアデザインでは、「人間中心設計」の考え方を軸に、オーナー様の理想とお客様の快適さを両立する店舗づくりをサポートしています。
新店舗の設計をご検討中の方は、どうぞお気軽にご相談ください。