COLUMNコラム

飲食店の店舗設計でできる「食中毒」予防策

飲食店を長く続けていくためには、料理の味や接客だけでなく、安心して食事ができる衛生管理が欠かせません。

店内がきれいに見えることはもちろん大切ですが、食材の保管、仕込み、調理、提供、清掃まで、日々の管理ができていなければ食中毒のリスクは高まります。

厚生労働省の令和7年食中毒発生状況の概要では、令和5年以降、食中毒の事件数と患者数はいずれも増加傾向にあるとされています。飲食店を開業する際には、衛生管理を後回しにせず、店舗づくりの段階から考えておくことが大切です。

これから飲食店開業をお考えのオーナー様は、ぜひ本記事をご参考ください。

食中毒の主な原因

食中毒の原因には、細菌、ウイルス、寄生虫、自然毒などがあります。

飲食店で特に注意したいものとしては、加熱不足の鶏肉などに関係するカンピロバクター、卵や食肉に関係するサルモネラ、牛肉などで注意が必要な腸管出血性大腸菌、二枚貝や人の手を介して広がるノロウイルス、魚介類に関係するアニサキスなどが挙げられます。

どれだけ清掃や消毒をしていても、菌やウイルスを完全にゼロにすることは難しいものです。そのため、日々の営業の中で「食中毒を起こしにくい仕組み」を作ることが重要になります。

食中毒予防の基本は「つけない・増やさない・やっつける」

食中毒予防の基本として、厚生労働省では「つけない」「増やさない」「やっつける」という3つの考え方が示されています。

つけない

「つけない」とは、食材や料理に菌やウイルスを付着させないことです。

まず大切なのは手洗いです。調理前、トイレの後、生肉や魚を触った後、清掃後など、手を洗うタイミングをスタッフ全員で共有しておく必要があります。

また、まな板や包丁、トングなどを、生肉用、魚用、野菜用、加熱済み食品用で分けることも大切です。厨房の中で食材の動線が交差しにくいようにしておくと、衛生管理もしやすくなります。

増やさない

「増やさない」とは、菌が増えにくい状態で食材を管理することです。

食材は適切な温度で保管し、冷蔵庫や冷凍庫に入れるべきものを常温で放置しないようにしましょう。仕込みの量が多い店舗では、冷蔵庫の容量が不足していないかも確認が必要です。

忙しい時間帯でも食材を出しっぱなしにしない、先に仕入れたものから使う、温度管理を記録するなど、日々の小さな習慣が食中毒予防につながります。

やっつける

「やっつける」とは、加熱や洗浄、消毒によって菌やウイルスを減らすことです。

肉や魚、卵を使う料理では、中心部までしっかり火が通っているかを確認しましょう。見た目だけでは判断しにくい料理もあるため、加熱時間や確認方法を店舗内で決めておくと安心です。

調理器具、作業台、シンク、冷蔵庫の取っ手なども、毎日洗浄・消毒することが大切です。清掃しやすい厨房にしておくことで、スタッフの負担も減らせます。

HACCPに沿った衛生管理も必要になる

現在、飲食店を含む食品等事業者には、原則としてHACCPに沿った衛生管理が求められています。

小規模な飲食店でも、難しい設備を導入するというより、衛生管理の計画を立て、実施し、記録し、見直すことが基本になります。たとえば、冷蔵庫の温度確認、スタッフの体調確認、清掃チェック、加熱確認などを記録しておくことが大切です。

開業前から衛生管理のルールを決めておくと、スタッフ教育もしやすくなります。誰が作業しても同じように管理できる状態を作ることが、飲食店の安心につながります。

店舗設計で衛生管理はしやすくなる

食中毒対策は、スタッフの意識だけでなく、厨房や店舗のつくりにも関係します。

手洗い設備の位置が使いにくい、下処理と盛り付けの場所が近すぎる、冷蔵庫までの動線が悪い、清掃道具の置き場がないといった状態では、衛生管理が続けにくくなります。

開業時には、食材の搬入、保管、仕込み、調理、提供、下げ膳、洗浄までの流れを整理し、清潔な作業と汚れやすい作業が混ざりにくい配置を考えることが大切です。

まとめ

飲食店の食中毒対策では、原因となる細菌やウイルスを理解し、「つけない」「増やさない」「やっつける」という基本を日々の営業に落とし込むことが大切です。加えて、HACCPに沿った衛生管理を行い、手洗い、温度管理、加熱確認、清掃、記録を続けられる仕組みにしておく必要があります。

衛生管理は、スタッフの努力だけでなく、店舗設計によっても取り組みやすさが変わります。厨房動線や手洗い設備、収納、清掃しやすい内装を開業前から考えておくことで、安心して営業できる飲食店に近づけます。

店舗設計のクリアデザインは、東京渋谷区を拠点におく設計事務所として、飲食店のコンセプトづくりから厨房動線、客席デザイン、清掃性を考えた店舗設計まで、オーナー様に寄り添ってご提案しています。

無料でご相談も承っておりますので、店舗設計に強い設計事務所をお探しのオーナー様は、ぜひ一度クリアデザインまでご相談ください。