COLUMNコラム

断熱性能を高めて快適な飲食店の室内空間をリーズナブルに実現

飲食店が断熱に気を使うべき理由

飲食店において料理やサービスの品質が重要であることはいうまでもありませんが、お客様にとって居心地の良い空間であることも再び訪れてもらえるかどうかの決め手となることがあります。快適な空間を作るためには、実にさまざまな創意工夫が求められますが、店内を快適な温度に維持することは最重要ポイントの一つに数えられるでしょう。エアコンなどの空調設備を活用する方法が一般的ですが、そもそも使用している建材に問題がある場合、ランニングコストが経営を圧迫するケースも少なくありません。

飲食店の快適さをリーズナブルに維持するうえで重要なのが、断熱性に優れた建材です。室内の断熱性を高めることで、夏の熱さや冬の寒さを効果的に遮断することができます。

平成27年7月、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」が公布されました。これは建築物におけるエネルギー使用の合理化を実現するための措置で(省エネルギー基準)、建築物の断熱性能の基準について定めており、2020年までの適合を義務化していました。省エネルギー基準は、その後、先送りされることが決定されていますが、飲食店をはじめとする建築物に断熱性能が求められることに変わりはありません。できるだけ早い対応が求められるといえるでしょう。

断熱材の主な種類

一口に断熱性能といってもさまざま。ここでは断熱材の種類と選び方について解説します。

・グラスウール
グラスウールはリサイクルガラスを熱で溶かし、繊維状にしたもののことをいいます。綿のようにモコモコしていて、安価なのが特徴です。

・セルローズファイバー
セルロースファイバーはダンボールや古新聞が原料です。細かく砕いたうえ、難燃剤を加えたものをスプレーで吹き込んで施工します。海外では実績のある素材です。

・インシュレーションボード
インシュレーションボードとは、木の繊維を原料とした建材のこと。木材と違って反りやひび割れが起こらないため、ボードを均質化することが可能です。

・羊毛断熱材
羊毛からつくられる天然の断熱材です。薄い羊毛の層を重ね、空気を含ませて熱で接着します。調湿性に優れ、結露しにくいのが特徴です。

・ロックウール
ロックウールとは、岩石(玄武岩)を溶融させ鉄分を取り除いたものを高温で液状化し、遠心力を使って繊維状にしたもののことをいいます。

・硬質ウレタンフォーム
発泡ウレタンの一つで、プラスチックフォームのなかでもとくに優れた断熱性能があります。複雑な構造物でも隙間なく連続した断熱層を作ることが可能です。

・ビーズ法ポリスチレンフォーム
ビーズ法ポリスチレンフォームとは、ポリスチレン樹脂などから成るビーズを発泡させたもののこと。私たちの生活と馴染み深い発泡スチロールもこれと同じ素材です。

・フェノールフォーム
フェノール樹脂を発砲させてボード状にしたもののこと。断熱性能が高く、外張りに向いているとされます。

断熱材を導入するにあたって注意すること

断熱材選びには細心の注意が必要です。たとえば、店舗の環境によっては結露によって衛生環境が損なわれることがあります。室内外の室温や湿度のほか、外部の通気層や壁の部材の種類や厚み、透湿抵抗など、さまざまな要素を考慮して最適なものを選定しなくてはなりません。天井断熱なのか、屋根断熱なのかなど、断熱材を使用する場所によって適切な断熱材は変わってきますし、結露を防ぐためには配管・ダクトの位置にも注意する必要があります。もちろん断熱材の厚みや耐久性も考慮すべき点です。

どんなに質の良い断熱材を使っていても、施工に問題があったら意味がありません。たとえば、グラスウールは施工しやすいということもあり、国内で頻繁に使用されてきました。ところが、施工のしやすさゆえ、専門業者ではない一般の大工さんが設置するケースが少なくありませんでした。結果的に、隙間ができるなど施工にムラが出て、本来の断熱効果が得られなかったり結露の原因になったり、問題が発生することが稀にあります。断熱材は、さまざまな事柄を考えあわせ、定常計算をきちんと行ったうえで施工しなくてはなりません。専門の業者によって正しく断熱材の施工が行われているかどうかも、断熱材を導入するうえで重要な点だといえるでしょう。

店舗づくりや改装をお考えの方へ

お客様に店内で快適に過ごしてもらうためには、断熱だけでなく、さまざまな工夫が求められます。クリアデザインデザインでは、「人間中心設計」を目指した空間デザインを徹底してサポート。店舗の特徴・環境に合わせて最適なプランをご提案しています。新店舗出店・改装をお考えのオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。